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恋人の日ということで、晶苹。

ちょっとエロい?かも

生ぬるい風が、部屋を吹きぬけて行く。
遠くで、花火の打ちあがる音がしている。
うっすらと汗をかいた肌はまだ熱をもっている。



体に巻きつくシーツがうっとおしかったけれど、
何も身につけていないことを思い出し、胸まで引きよせる。
身体に落とされた、唇の痕。
感触を思い出してしまう。
この暑さよりも、熱い彼の唇。

いま、となりで寝息をたてている彼の。
彼は今、彼の兄が言っていたような、幸せそうな顔で眠っている。
20歳を過ぎて2年が経っている今でも、その顔は少年のままだった。

ふわりとした、青い髪。
伏せられた、ながいまつ毛。
優しげな表情。
晶馬。涼しげで綺麗な、彼にぴったりの名前。

その顔に、思わず右手が伸びる。はっとしてとどまる。
触れてしまいたい気持ちを、どうにか抑える。
ここのところ、忙しくてあまり眠れていなかったはずだった。
そんな彼の眠りを妨げてはいけない。
けれど、彼の長いまつげが動く。
神秘的な湖の様な色をした、緑色の大きな瞳があらわれる。

「どうしたの?荻野目さん」

少しだけ甘く、ふわりとしたやさしい声で、私を呼ぶ。

「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん。起きたら、荻野目さんがこっちを見てたから」
「うん、晶馬くんを見てた」
「僕なんか見ても、何も楽しくないと思うけど?」
「そんなことないよ。幸せだよ」

そう言ってほほ笑むと、彼は照れたような表情をする。

「僕も、です」

それだけ言うのに、目線がくるくると動く
私と、目を合わせることも出来ない。

「晶馬くん、もう少し眠ったら?」
「そんなに見られてたら、寝られないよ」
「じゃあ、私も一緒に眠る」

そう言って、彼の胸に、頬を寄せる。
汗で湿った、熱い肌の感触。
彼の腕が私の体に回され、抱きすくめられる。
熱い肌と肌が、触れ合う。

彼の顔を見上げる。
涼しげに微笑んでいる。肌はこんなにも、熱いのに。
彼の唇を指でなぞる。肌よりも、ずっと激しいあの熱を思い出す。

彼の唇が、私の唇をゆっくりと塞ぐ。
熱が流れこんでくる。
このまま、彼とひとつになれるのなら、燃え尽きてもかまわない。
溶けてしまいたい。

遠くで、花火の音がする。まるで耳鳴りの様だと思った。



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