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翠星のガルガンティア。


もともと虚淵脚本の過不足のなさが好きなんですが、この作品は本当に最後まで丁寧で作りこまれた作品だと思いました。セリフも洗練されていて無駄がなく、それでいてやさしい。画像も光がきれいで、降り注ぐ演出が多く、とてもやさしい感じがしました。キャラデザも、キャラが生き生きとしていて、世界観にぴったりだったなと。武骨な世界観に、シャープなレドとチェインバーのミスマッチもよかった。村田監督は武骨で乾いた感じのかっこいい世界観と、みずみずしく繊細できらきら美しい世界観、両方再現できる方なんだなと思いました。この方の奥行きのある世界と光と水の演出のファンになりました。原案から作り上げたのが脚本家で、監督はあとからひっぱってきたそうですが、本当にぴったりの監督をひっぱってきたなと思いました。

最愛のキャラは最初からずっとチェインバーです。
最初はギャグ担当のサブキャラなのかな?と思っていたのですが、物語を語る上で、最重要ともいえるキャラだったのには驚きました。コックピットは普通胸にあるものですが、チェインバーはどうしても頭にレドを乗せたかったということで、頭がでかくなっているとメカニックデザインの方がおっしゃっていたように思うのですが、それはレドの思考や生き方を映す鏡のようなものだったからなんだなと思いました。学習するAI。ガルガンティアでいろいろなものを見ていたのはレドだけじゃなかった。とても素敵な設定だと思いました。


以下はネタバレ含みます


最期海に沈んだチェインバーがクジライカの住処になってるのが感慨深かったです。「共生」というレドが選んだ道と同じだなと思いました。「翠の星の伝説」というサブタイトルは、主にチェインバーのことだといいなと思いました。こんなロボがいて、レドと地球を救ってくれたんだよ。そのロボと一緒に暮らしてたよ。荷物運びをしたり、焼き肉を焼いたりしたんだよって。最初は人を平気で殺すブリキ野郎だったけど、変わったんだよって。そんな感じで。

チェインバーの最期のセリフ「くたばれ、ブリキ野郎」たぶん伝説に残るセリフになるんじゃないかなと思っています。ずっとチェインバー自身が言われていた「ブリキ野郎」を捨て台詞に使ったということは、チェインバー自身も自分はブリキ野郎だったなという自覚があったのかなと思います。クジライカ握りつぶしたりしてましたからね。でも最期はブリキ野郎じゃなかった。レドに生きてほしい、地球を救いたいと思ったのは、チェインバー自身の意志だったと思います。ずっと「貴官」もしくは「レド少尉」と兵士としてレドを扱っていたチェインバーが、最期「あなた」と言っていたのが印象的でした。レドに生きてほしい、と思うと同時に、レドはもう自分がいなくても大丈夫だと、ひとりの人として認めたのかなと思います。

「生きる理由がない」というようなことを言っていたレドが、エイミーの「あなたにいてほしい」という趣旨の言葉で、「生きたい」と思えたシーンがとても好きです。ベベルの「必要とされてるから、生きているんでしょう」というセリフが生きていたんだなと思いました。人はどうして生きているのか。誰かに必要とされているから。素敵な解釈だなと思います。

もう一つ素敵だなと思ったのは、「人は考えることをやめちゃいけない、考えることができるから、心があるから人なんだ」という解釈です。人はわかりあうことができる。なぜなら心があるから。コミュニケーションで分かり合えるのが人間なんだ。という解釈。この作品は社会に出る若者に向けた作品になるとおっしゃっていたのですが、それがその答えのようなものだったのかなと。最期、ヒディアーズの問題に「コミュニケーションが取れるようになるかもしれない」という解決の可能性を示唆させてたのは、さすがだなと思いました。ヒディアーズも元は人間。完全に心をなくしたわけじゃないのだろうなと。幼生のころは、コミュニケーション取れそうというか、チェインバーに興味を示してましたもんね(ブリキ野郎握りつぶしたけど)

ーその命に、最大の成果を期待する。

チェインバーがレドに向けた最後の言葉です。彼の思う「最大の成果」とはなんだろうと。その答えはわかるようで難しいです。世界が平和になることかもしれないし、他の星から来たレドがコミュニケーションで地球の人たちと分かり合えた経験を生かして、まだ分かり合えない人たちと分かり合えるようになることかもしれない。他にもきっと意味があるんだろうなと思います。ずっと考えていきたいです。


レドの声優に新人の若い石川さんを起用したのもよかったと思います。この作品は選択肢を何一つ間違わなかった作品という感じがします。十分評価されていますが、もっと評価されてほしい作品です。虚淵さんが、ここまでまっすぐに言いたいことを描くのは、もうない気がしますし。よくここまでストレートに描く気になったなと思いました。なにがあったんだろう(笑)





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