忍者ブログ
 
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

晶苹。とくになんてことない話。
理系男子萌えなんです。

「晶馬くん得意教科は何?」

ある日の放課後、いつものように僕を待ち伏せていた荻野目さんとの帰り道。
唐突に彼女がそう聞いてきた。

「ど・どうしたの?突然」

やや前のめりになって、僕の顔を覗き込む彼女に気押されて、
リアクションをうまくとることが出来なかった。
思わず、両手で彼女の体を押し返してしまう。

「数学は?世界史は?得意?」

押し返す腕にも構わず、彼女はさらに僕に顔を寄せてくる。

「え?え?苦手ではないけど…」

僕の答えを聞くが早いか、彼女は僕の腕をとってぐいぐいと歩き出す。

「うわあ!荻野目さん何!?」
「勉強、教えて!!」



無理やり連れてこられたのは、彼女の家だった。
彼女の家は母親との二人暮らしで、その母親も仕事で留守がち。
この日も、母親は不在だった。つまり、荻野目さんとふたりきり。
私の部屋で!と息巻く彼女を、さすがにそれはマズイからとなだめて、
リビングで彼女の勉強を見ることになった。

荻野目さんは今、必死に数学の問題を解いている。
彼女は、多蕗や僕のストーカーをするために、塾通いをさぼっていたらしい。
そのツケがまわってきて、成績が落ち始めてしまったのだという。
とくに苦手としている数学が、大変まずいことになったのだという。

というわけで、手みじかな相手である僕を頼った、ということらしい。

「ねえ、晶馬くん、ここ、どうしてもへんな数字になるんだけど」
「ちょっと貸してみて…ああ、これは公式が違うよ、こっちの公式をつかうんだ」
「あ!ほんとだ綺麗な整数になった!」
「ね。計算の仕方自体はあってるから、すぐに自力で解けるようになると思う」
「ほんと?よかったー」

彼女は満面の笑みを浮かべる。今日初めて見る、リラックスした表情だ。

「それにしても晶馬くん、本当に数学出来るのね」
「できるって言っても、兄貴ほどじゃないけどね」
「へえ、冠葉くんて理系得意そうだもんね。晶馬くんはイメージと違う、かも」
「そうかな?」
「なんか、ちょっと男の子みたい。」

それは、なんだか心外だ。

「男だけど?」
「じゃなくて、教えてもらったことがあるの料理とかしかなかったから
ちゃんと男の子っぽいことも出来るんだなって」

とても心外な気分だった。
いちおう引越しの手伝いなんかもして、それなりのつもりだっただけに。

「なんだか惚れ直しちゃった」

そんな不意打ちのセリフに、どうリアクションをしていいか分からなかった。
彼女はニコニコと満足げに微笑んでいる。
もしかしたら、荻野目さんは知的な男が好みだったりするのだろうか。
多蕗といい。でもあれは嘘の恋だったけれど。



拍手[3回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
管理人のみ閲覧可
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
amisaka
性別:
女性
趣味:
アニメとアイドル
ブログ内検索
アクセス解析
忍者ブログ [PR]